英語教育大改革

Yasukochi

「英語が大好きになる学園!麴町学園!」 英語教育の大改革を麴町学園から始めます!

麴町学園英語科特別顧問 安河内哲也氏 ご挨拶

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英語教育達人セミナー at 麴町学園女子中学校高等学校 2015年10月1日(木)

かけ声だけではなく、改革を断行します!

10月1日(木)、本学園に100名近い英語教育関係者が集まり、「英語教育達人セミナー」が開催されました。麴町学園英語科からは8名が参加しました。はじめに本学園の山本校長が挨拶をしました。
今年度、麴町学園は4つの柱からなる改革プラン“VIVID Innovations KOJIMACHI” を打ち出しており、その改革の大きな柱のひとつが「アクティブイングリッシュ」という英語教育の大改革プランです。
その趣旨に賛同してくださった財団法人実用英語推進機構代表理事の安河内哲也氏を英語科特別顧問に迎え、麴町学園英語科が中心となって改革を断行していくという決意を宣言しました。

セミナーは次のようなプログラムで行われました。

10:00~10:45 講座1授業のバージョンアップ~電子辞書をもう一度!」
谷口幸夫先生(都立国分寺高等学校)
11:00~12:00 講座2「ICTを始めてみましょう~CNN活用プロジェクト」
米田謙三先生(羽衣学園中学校高等学校)
14:00~16:00 講座3「スピーキングテスト問題を利用した活動型授業の実践」

「アクティブイングリッシュ = 英語が大好きになる学園!麴町学園!」
午後の安河内先生の講演では麴町学園英語科が進めている改革についても紹介がありました。安河内先生と聞くと予備校でわかりやすく講義型の熱血授業を行っている印象を持たれる方が多いと思いますが、先生自身がそのようなスタイルからの決別をはっきりと宣言し、ICTをフル活用したアクティブラーニング型の授業を実践されています。
麴町学園の「アクティブイングリッシュ」が目指す方向も同じです。
ポイントは次の5つです。1つ目は「音声教育の徹底」2つ目は「ICTのフル活用」3つ目は「チームティーチング」4つ目は「アクティブラーニング」5つ目は「モチベーションを上げる体験の提供」です。詳しくは麴町学園ホームページの安河内先生と山本校長の対談記事「英語教育大改革 『アクティブイングリッシュ』とは?」をご覧ください。

英語教育改革関連の記事は今後もこちらのページで紹介していく予定です。ご期待ください。

英語教育大改革 「アクティブ・イングリッシュ」とは?

激論:安河内哲也氏 vs. 山本校長。麴町学園の新しい英語教育とは?

安河内哲也氏
財団法人実用英語推進機構代表理事・東進ハイスクール講師。文部科学省の審議会の委員も務め、来たるべき大学受験英語の4技能化大改革においての旗振り役を務めている。中高一貫校の英語教育の抜本的改革を提唱している。麴町学園はその主張に賛同し、英語教育の大改革を発表した。安河内自身も山本校長と英語科の教師陣の熱意に打たれ、英語科特別顧問を引き受けた。

麴町学園女子中学校高等学校 山本 三郎校長
1949年大阪生まれ。1972年関西大学文学部卒。帝塚山学院教頭、校長、法人理事を歴任。
2015年より麴町学園 女子中学校高等学校校長

麴町学園女子中学校高等学校の英語科は、2015年度英語科教科会議において、2016年度以降、根本からその英語教育の仕組みを大改革するプランを打ち出した。

「アクティブ・イングリッシュ = 英語が大好きになる学園!麴町学園!」と銘打つその大改革の全貌を、麴町学園の英語科特別顧問を引き受けた、文科省審議会の委員でもある安河内哲也が山本校長に聞く。

 

安河内:このたびはお招きいただきありがとうございます。学園全体で英語教育の大改革を敢行されるということですね。また、私の提唱している中高一貫校の英語教育改革プランや、文科省の審議会の議事録もいろいろと研究していただいたということで、大変うれしく思っております。まずは現時点での改革のプランをうかがいたく思います。

山本:このたびは、英語科の特別顧問をお引き受けいただきありがとうございます。本学園は、創立110年という伝統校でもあるのですが、その伝統を大切にしながらも、新しい時代、そして世界の流れに対応すべく英語教育の大改革を行うことを決定いたしました。ご存じのとおり、我が国のこれまでの英語教育は特にコミュニケーション能力の育成という点では十分な成果を上げることができませんでした。本校でも、恥ずかしながら、その点についてうまく対応できていない部分がありました。しかし、英語教育改革プランにおいては、全てを最新の英語教育に一新することを決定いたしました。

安河内:一新ですよね?本当に思い切りましたね?

山本:いえいえ、先生のいつも言われるとおり、古い英語教育では現代社会の要求にも、入試にも対応できません。昭和の時代の惰性で、社会生活にも入試にもあまり役に立たない英語を教えるスタイルと本学園は決別する決心をいたしました。

安河内:多くの学校が、英語教育を変える、変えると言いながら、実態としては、時代遅れの参考書を使っていたりしています。だから、もうおおざっぱなかけ声だけ聞いても、私は納得できないのです。これまでさんざん期待を裏切られてきました。顧問を引き受させていただく身として、ハッキリ知っておきたいのです。いったい、具体的にはどのようなことをなさるのでしょうか?詳しく教えていただけますか。そして、実行することを宣言していただけますか?

山本:いきなり厳しいですね(笑)。本学園の改革プランのポイントは5つです。1つ目は「音声教育の徹底」2つ目は「ICTのフル活用」3つ目は「チームティーチング」4つ目は「アクティブラーニング」5つ目は「モチベーションを上げる体験の提供」です。

安河内:確かに、それらが大事だというのはよくわかります。しかし、正直そこまでなら、文科省のホームページからキーワードを拾ってくればできあがりますね(笑)。実際、どこの学校も似たようなことを言っています。問題は実質的な部分なのです。具体的には何をやられるのですか?現在確定しているプランを教えていただけますか。本当にかけ声だけではないのですよね?

かけ声だけではなく、改革を断行します!

山本:いえ、すべて必ず実行します。まず、1つ目の音声教育に関してですが、来年度の新中1年生からは、朝のホームルームの時間に全てのクラスで10分間のリスニング・音読等の音声活動を行います。6年間、週6日、毎日です。また、授業中もネイティブの音を真似てインプットした英語を実際に使ってみたり、様々な英語素材を鑑賞したりしながら、英語の音に触れ続けます。校内では、常に英語の音に触れることを重視します。

安河内:確かに、それはいいですね。毎朝10分、週6日、6年間の音声活動ですか?実現すると相当効果がありますね。でも、本当にできるのですか?

山本:必ずやります。そのためにも、2つ目のポイントが重要なのです。ICTツールの活用です。やはり、英語はネイティブの音を聞かせたり真似てみたりすることが大事です。毎日音読といっても、発音がデタラメでは意味がありません。本校では教室に大画面モニターとパソコンを設置し、統一された画面とネイティブ音声のプログラムにしたがって、計画的に音声活動を行います。また、普段の授業でもデジタル教科書やICTツールの活用を行い、たくさんの音に触れさせます。

安河内:ICTは便利ですよね。授業のクオリティが上がります。でも、プレゼンデータの準備等が大変じゃないですか?先生達にできるのですか?

麴町学園の英語科は一つのチームです。

山本:大変だからこそ、皆で協力することが大切だと考えました。本学園では、先生達が、同じサーバーに入ったデータを共有しており、準備作業を分担しています。

安河内:すみません、わかりやすく言うとどういうことですか?

山本:それが、3つ目の「チームティーチング」ということになるのです。例えば2016年度に入学した新中学1年生からは検定教科書の『One World』を使用し、この教科書を完璧に習得させます。その学年を教える全ての先生がこの教科書を使うわけです。だから、ワークシート作りやプレゼンデータ作りを全ての先生で分担する。また、毎回の授業の反省や情報交換を通じてチーム一丸となって授業内容の改善に取り組みます。それをまた次の学年にバトンタッチして、内容をどんどん向上させていきます。

安河内:ということは、麴町学園では先生達は自由に教え方を決めることはできないのですか?

山本:先生達がしっかりと個性を発揮することは大切です。ただ一方で、それが行き過ぎると、寄せ集めのカリスマ教師集団と化してしまい、曜日や学年によって、やることがバラバラになってしまいます。学校という組織では、皆で大切に一人の生徒を育てていくのです。そのためにチームで協力するということが、いちばん大切なのです。

安河内:4つ目は「アクティブラーニング」ということですが、具体的には何をするのですか?アクティブラーニングは一種の流行語ですよね。どこの学校でも判を押したようにとびついて使っている(笑)。麴町学園流のアクティブラーニングを具体的に教えてください。

ホンモノのアクティブラーニングを追求します。

山本:確かに流行語に飛びついたと思われるかもしれませんね(笑)。でも、本校は真剣です。昭和の時代には先生が教壇でずっと日本語で話していて、それを生徒が静かに聞いてノート作りをするような英語教育が一般的でした。お恥ずかしい話ですが、本学園でも、一部そのような授業スタイルから脱却することへのためらいがありました。大幅に変えると受験等に影響が出るのではという心配が一部にあったのです。

安河内:それはおかしな話ですね。私は大学受験をする高校生達もたくさん教えていますが、昭和スタイルの講義型授業では、英語の成績はさっぱり上がらない。実は、昭和の「受験英語」と呼ばれるような英語は、今では入試にもさっぱり役に立たないんですね(笑)。現在の大学入試でも、音声活動を取り入れた教育をやることが成績を最も高めます。しかも、これから入試英語は、ストレートに英語の実力だけを試す4技能検定試験にどんどん変わっていきます。これからの英語の授業では、ますますホンモノが求められますね。で、具体的には?

山本:学習指導要領には「英語で授業を行うことを基本とする」とありますが、本校ではこの文の主語は教師ではなく生徒だと解釈しています。

安河内:えっ、じゃあ先生達は英語で授業をしないのですか?

山本:そういうことではありません。教員は英語をたくさん発話します。しかし、日本語を使用した方が明らかに効率がよいと思われる場面では、臨機応変に日本語を使用する場合もあります。私たちは、それよりも大切なのは、生徒の口がたくさん動くことだと思っています。インプットのためのネイティブ音声を真似た発話にはじまり、ペアワークやグループワークを通じての自発的発話に至るまで、授業の半分以上は生徒が活動している状況をつくります。先生がアクティブになるのではなく、生徒がアクティブになるのがアクティブラーニングですから。

安河内:確かに。生徒の口を動かすのが教師の役割ですからね。そうやって、たくさん使えば使うほど、英語は楽しくなりますよね。インプットのための音読だけで終わっていては、楽しくないし、4技能試験には対応できませんね。自発的発話をさせることが、自信を引き出し、英語好きを作りますね。えっと、最後のポイントは何でしたっけ?

学校内でいつでも留学できるようにします。

山本:「モチベーションを上げる体験の提供」です。本校では、英語学習のモチベーションを高めるための様々な体験を準備しています。その一つが本年度開設したi LOUNGE(アイ[インターナショナル]ラウンジ)です。

安河内:i LOUNGE、かっこいい名前ですね。でも、やはり名前よりも内容が大事ですよね。いったいどのような場所なのですか?

山本:はい、このラウンジはひとことで言うと「英語村」ですね。その中に入ると英語しか使えない。でも、ゲームや交流などの、子供たちをひきつける楽しいプログラムがたくさん準備されています。

安河内:「英語村」、これも流行ですね(笑)。もっと具体的に教えてもらえますか?ネイティブも常駐しているのですか?

山本:はい、本校のALTに加えて、世界の様々な国々からの留学生を招待し、本校の生徒と交流する場所とすることも考えています。いつでも世界とつながることができる場所、英語を使う体験ができる場所を学校内に作りました。そして、ありとあらゆるエデュテイメントをこの部屋に集結したいと思っています。本格的なイギリスの地方を本格的に再現したブリティッシュヒルズを訪問したり、ニュージーランドで研修したりと、やる気を高めるためのイベントを適切な時期に行います。さらにアイルランドへの語学研修も予定されており、アイルランド大使からも応援をいただいております。ただし、勘違いしていただきたくないのは、やはり、何よりも大切なのは、毎日の授業だと言うことです。i LOUNGEや様々な研修旅行はあくまでも、英語を使ったお祭りです。普段の授業を楽しい活動型授業にしないで、イベントだけ充実させても意味がありません。両方が充実して初めて子供達は英語が大好きで得意になるのだと考えています。

安河内:なるほど、本当に思いきった大改革をされるのですね。実現すれば、受験での実績も相当に上がるでしょうね。

山本:そうかもしれません。でも、本来、英語教育は受験のためにやるものではありません。受験にふりまわされる英語教育が、英語嫌いを生み、その結果、受験でもうまくいかない。そんなことが、昭和の時代に繰り返されてきたのだと思います。本学園にも反省する点は多々ありました。だからこそ、これからの本校の英語教育では、英語学習の哲学を最重視します。ホンモノを学ぶ。そして英語をとことん楽しませる。そうすれば、仕事や受験で十分な威力を発揮する英語力が身につくのだと、本学園の教員は信じて、この改革をすすめています。

安河内:私もいろんな学校をめぐってお話を聞くことが多いのですが、抽象的なことばかりで具体論がないことが多いのです。顧問を引き受けるに当たって、心配していたのですが、良い意味で、ちょっとビックリしました。みなさん英語教育に関して相当研究されましたよね。

山本:いえいえ、研究だけではなく、今後実行することを評価していただきたいと思っております。本校はこのプランに安住せず、もっともっとハイレベルな英語教育を目指してまいります。また、時代に応じて臨機応変に変化して参ります。今後とも英語教育の改善についてのアドバイスをよろしくお願いいたします。

安河内:もちろんです。様々な学校の英語教育の改革をお手伝いするのが私の務めですから、大歓迎です。今日のお話をうかがった限りでは、2016年から、麴町学園はホンモノの英語教育に向けてやれることは全部やるわけですね。地に足のついた、現実的かつ実効性のある英語教育がこの学園に実現しますね。とはいっても、実現の過程までにいろいろと壁にぶつかることもあると思います。そんなとき、私にできることはしっかりやらせていただきます。特に、私の得意分野である適切なコンテンツの選択に関しては任せてください。生徒の労力を絶対にムダにしない最高の選択を提案させていただきます。未来のモデルとなる最高の英語教育を実現しましょう。

山本:本校は小さな学園ですが、だからこそ、思い切ったことができます。分不相応な言い方かもしれませんが、日本の英語教育の改善に一石を投じることをめざし、英語科教員一同がひとつになってこの改革に取り組んでいきたいと思っております。