「伝統が作り上げる学校の風味 それは『らしさ』」

この、一年で最も素晴らしい「自然が芽吹く」季節に、新しく麹町学園の校長を拝命致しました。

永く関西に住んでおりましたので、この東京の雰囲気に早く馴染もうと、その居を東京の真ん中、護国寺に構えました。本音を言えば、まさにまだ右も左も分からないと云った状態です。正直、地方から東京の大学に入学してきた学生たちと、あまり変わりません。

ですが、新校長として学校の事はそういう訳にはいきません。特に気負うとか急ぐとかいった気持ちは無いのですが、まずは学校の事を可及的速やかに、肌で感じ、頭で理解しなければなりません。

麹町学園での私の第一印象は「生徒たちの顔が穏やか」なことです。

中学校、高等学校それぞれの生徒会長と話をしました。率直に麹町学園の良いと思う所を尋ねたところ、それぞれが「先生と生徒との距離が近い」という、同じことを答えました。

全教師との面談でも同じような事を耳にします。「麹町学園は、面倒見のいい学校との定評があります」と。

これがまさに永い年月に培われた「伝統」というものなのでしょう。単なるフレンドリーというよりも、それは「学校と生徒とが共有する信頼関係」と云った方が適切でしょう。一朝一夕に作り上げられるものではありません。

建学の精神に基づいた教育は、110年の間に、「風味」を創り上げます。それは「らしさ」です。「麹町学園らしさ」としてもたらされたものは「絆」の一言で表現できます。これはこの先、何年経とうが失われることは無いでしょう。それが「伝統」の力です。

しかしながら、「では、次なる伝統の嚆矢(物事の初め)は?」と自問します。これは持論ですが、永続する「伝統」は「伝承」、つまり、「そういうものだ」という予定調和的な雰囲気を持ってしまうこともあります。

そこにこそ「伝統の上に成り立つ改革」という、私の最初の仕事があります。一言で云うなら、あの松尾芭蕉が提唱した「不易流行(ふえきりゅうこう:普遍的な本質は、常に変化する中にある)」。

私自身が「伝統」に頼るようなことがあっては、新たな時代・社会の要求する「あるべき姿」は見えてこないでしょう。

さあ、私の最初の大仕事が始まります。

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